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西洋絵画!【世紀末芸術】の特徴は?画家や絵画たちを、わかりやすく解説!

西洋絵画!【世紀末芸術】の特徴は?画家や絵画たちを、わかりやすく解説!



mars
どうもこんにちはマルスです。
今回は19世紀末の芸術については記事を書いてみました。
この時代様々な地域と異なる分野で、人間の内面や感情などを主題にした作品や、神秘的で幻想的な芸術が、同時発生的に生まれました。
そして様々な作風の芸術が生まれる、非常におもしろい時代なんですよね。
そんな世紀末芸術で活躍した芸術家たちや時代背景を、分かりやすく簡単に説明していきたいと思います。
この前の時代の美術が知りたい人は、この記事を読んでね。

【ルネサンス以前に回帰!ラファエル前派】

ラファエル前派は、19世紀末のイギリスで生まれます。
ラファエルとはラファエロの事で、西洋美術の中心はルネサンス美術を完成させたラファエロを規範にした古典主義でした。
ラファエル前派の画家たちは、その古典主義よりも前の時代に、自由を求めました。
そのため彼らの作品の特徴は、堅苦しい技法よりも人間的な感性が重視されています。
彼らは主に聖書や神話、文学作品から主題をとりましたが、中でも「ファム・ファタル」と呼ばれる男性を魅了し破滅をもたらす女性像を頻繁に取り上げました。
このような時代背景には、かつては読み書きさえ教えられなかった女性に教育が施されるようになり、来る20世紀における女性の地位向上の兆しがあった事です。
このような時代だったので、ファム・ファタルが流行したのですね。

ラファエル前派!ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス

Circe
*oil on canvas
*148 x 92 cm
*1891
作者 ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス
作品名 「キルケ」
製作年 1891年
所蔵 オータルダム美術館、イギリス
上の絵は、ホメロスの叙事詩「オデュッセイア」に登場するキルケ。
キルケは気に入った男性を見つけると、家に招き入れ、飽きると魔法で家畜に変える恐ろしい魔女です。
まさに女性の時代の幕開けといった感じですね。

今までの体制に反発!【分離派】の誕生!

17世紀に王立アカデミーができ、画家たちの発表の場はそのアカデミーが主催する官展に限られました。
その後19世紀半頃にパリで、その体制に反発した印象派の画家たちは、自分達で展覧会を開き運営します。
それが世紀末になるとフランス以外の国、ウィーンやミュンヘン、ベルリンなど、ドイツ語圏の複数の都市で、旧体制から離れようとする運動が起こります。
その運動を起こした画家たちの事を「分離派」と呼び、ウィーンにおける分離派の創始者がクリムトです。
クリムトは職人が主導する分野だった工芸と絵画の融合を目指しました。

分離派の創始者!クリムト

作者 グスタフ・クリムト
作品名 「女の三世代」
製作年 1905年
所蔵 国立近代美術館、ローマ
上の絵は、子供、成人、老人を同時に描く伝統的な「三世代」の図像です。
中央の3人の人物は写実的に描かれていますが、背景には抽象的な模様と金細工が施されています。
このようなあらゆるジャンルを融合させる芸術を、総合芸術(ユーゲントシュティル)と言い、後の芸術家たちにも受け継がれます。

【アーツ・アンド・クラフツ運動】とは?

19世紀末から20世紀初頭のイギリスでは、技術革新によって大量生産された安価な物であふれていました。
そのため職人の手で作られる工芸品などは、需要を失いつつあり、それに危機感を持ったモリスは、もう一度工芸品の価値を取り戻そうと、アーツ・アンド・クラフツ運動を起こします。
彼は、モリス・マーシャル・フォークナー商会(後のモリス商会)を設立、デザイナーと職人が共同制作する家具や壁紙、織物などを販売しました。

生活と芸術の融合!ウィリアム・モリス

作者 ウィリアム・モリス
作品名 「苺泥棒」(室内装飾用織布)
製作年 1883年
所蔵 ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、ロンドン
上の絵は、モリスが栽培していた苺を鳥が突きに来て悩まされた経験をヒントに描かれました。
彼が目指したのは生活と芸術の一体化でしたが、一つ一つ手作業で作られるため、コストが高くごく一部のお金持ちにしか受け入れられなかったようです。
しかし彼の作品は今でも愛され、現在でも根強い人気があります。

【アール・ヌーヴォーとアール・デコ】

世紀末芸術の一つに「アール・ヌーヴォー」があり「新しい芸術」を意味し、主にフランスを中心に広がりました。
産業革命以降の大量生産による、工業製品への反発があり、主に工芸分野において流行します。
花や植物、昆虫などの有機的なモチーフを使い、いままでの様式にとらわれない装飾性や、ガラスや鉄といった新たな素材を用いて表現する点が特徴です。
アール・ヌーヴォー流行は20世紀になっても続き、1925年の「パリ万国装飾美術博覧会」をきっかけにして、工芸品や建築装飾の分野で一層の広がりを見せます。
同万博の名前の一部(装飾芸術=アール・デコラティフ)をとって、これ以降の流行を「アール・デコ」と呼ぶようになります。
ガラス細工などの手作り製品などを主にした「アール・ヌーヴォー」に対して、「アール・デコ」は大量生産の工業製品や近代建築にも用いられます。

ガラス細工の第一人者!エミール・ガレ

作者 エミール・ガレ
作品名 「脚付杯(フランスの薔薇)」
製作年 1901年頃
所蔵 北澤美術館、長野県
上の作品の作者ガレは、ガラス工芸における第一人者で、彼はガラスの表面にサビ色を付けたり、酸化物を混ぜて色を付けたりと、ガラス工芸技法の発明家でもありました。
この作品はガレの生地であるナンシーの中央園芸教会会長レオン・シモンの引退記念として創作されました。

【指導者ゴーギャンのナビ派】

ナビ派の誕生のきっかけとなったのが、若き画家たちが集まったポン・タヴァン村で、セリュジエがゴーギャンに出会い指導を受けたことでした。
ゴーギャンは常に「今とは違う何か」を求めており、その指導は「樹が赤みがかって見えるなら赤色で塗れ、影が青みがかって見えるなら、パレットの中の最も美しい青を塗れ」と教えました。
そうしたゴーギャンの斬新なスタイルと独自の指導法は、若き画家たちの「預言者(ナビ)」となったためナビ派が誕生しました。

護符!ポール・セリュジエ

作者 ポール・セリュジエ
作品名 「護符」
製作年 1888年
所蔵 オルセー美術館、パリ
上の絵は、木々や川を描いています。
この絵は、ナビ派の最初の記念碑的作品で、やがてナビ派の「護符(神仏の加護のこもっているという札)」と呼ばれるようになります。

【まとめ】

いかがでしたかみなさん?
世紀末芸術は様々な分野が一斉に変化しましたね。
特徴としては、幻想的で神秘的で、産業革命による大量生産に反発した側面もあり、退廃的でもありましたね。
では今回はこのへんでお別れしたいと思います。
最後まで読んでくれてありがとうございました。

mars
またねー
参考資料



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